プルースト効果とは?【香りと記憶の関係】
プルースト効果とは特定の香りを嗅ぐことで、その香りに結びついている記憶や感情が呼び起こされる現象のこと。フランスの文豪、マルセル・プルーストの「失われし時を求めて」という作品に登場する主人公が、紅茶にひたしたマドレーヌの匂いをきっかけに幼少時を思い出す描写から名付けられました。
『そしてまもなく私は、うっとうしかった一日とあすも陰気な日であろうという見通しとにうちひしがれて、機械的に、一さじの紅茶、私がマドレーヌの一きれをやわらかく溶かしておいた紅茶を、唇にもっていった。しかし、お菓子のかけらのまじった一口の紅茶が、口蓋にふれた瞬間に、私は身ぶるいした、私のなかに起こっている異常なことに気がついて。すばらしい快感が私を襲ったのであった、孤立した、原因のわからない快感である。』
皆さんもありますよね?
何かの香りや音楽で、無意識に思い出や記憶をふと思い出すこと。それが「無意識的記憶」です。
脳へ入った香りの情報は、大脳辺縁系→ 視床下部→下垂体 へと伝達。同時に、 大脳皮質の嗅覚野にも到達し、ここで香りを知覚し何の香りか判断します。
人間の脳の90%以上は「新しい皮質」が占めており、大脳新皮質と呼ばれ、考えたり記憶をする等の知的活動を司り、人間らしい行動と結びついている脳とも言えます。
一方、古い皮質は大脳辺縁系と呼ばれ、人間の場合、新しい皮質が発達することにより脳の片隅に追いやられてしまっています。 大脳辺縁系は、食欲や性欲などの動物と共通した本能に基づく行動 、喜怒哀楽などの情緒行動を支配し、自律機能にも大切な役割を果たしています。
大脳辺縁系は嗅脳とも呼ばれ、嗅覚は直接この大脳辺縁系と結びついています。 他の視覚や聴覚などが、視床や大脳皮質を経て大脳辺縁系へ到達するのに対し、嗅覚は嗅神経からダイレクトに大脳辺縁系へ入ります。嗅覚が人間の五感のなかで最も原始的なのです。
さきほどのこの場面では、マドレーヌの味が、幼い頃に食べたマドレーヌの味と繋がり、さらに食べた場所、子供時代に過ごしたコンブレーという町の思い出に結びつきます。
『全コンブレーとその近郷、形態をそなえ堅牢性をもつそうしたすべてが、町も庭もともに、私の一杯の紅茶から出てきた』
皆さんも香りで思い出す記憶があったら、教えてください♪
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